曼珠沙華 夢か幻 月夜道

大勢の人たちが、ヒガンバナを見に来ていたが、私は一人。
あの鋭い朱の色に悩殺され、狐の化かし合いかと、孤独で一人歩きの私を、迷わせる。
夕焼けに染まるあの銀糸の朱の色、なんと形容したら良いか迷う。
行きずりの人の助けを借りて、無人駅ににたどり着いたのは、とっぷり、日が暮れて居た。

心の底で、亡夫を呼んだが答えてくれなかった。